風土と酒造り

大いなる自然の恵みへの、感謝と尊敬
安土桃山時代の創業以来、小嶋総本店が同じ場所で酒造りを続けられたのは、天地の恵みである米と水、そしてこの風土に育まれた人々の存在があるからです。私達は天地に、人に感謝をし、その個性を尊重した酒造りを目指します。

風土、水

小嶋総本店は、最上川の源流に最も近い酒蔵として、その清らかな水の恵みを受け続けてきました。蔵が位置する米沢は、年間積雪量が6メートルという豪雪地帯であり、吾妻山から流れ出す豊富な雪解け水は、山形を縦断する最上川の源流となります。

雪解け水が織り成す源流は地層に浸透し、控えめにミネラルを含んだ上品な口当たりの地下水となって蔵に辿り着きます。地下水の温度はその土地の年間平均気温に等しく、私達の井戸からは米沢の年間平均気温である11度となって湧き出ます。

摂氏11度とは、私達がお薦めする東光の飲用温度と全く同じです。これが偶然なのか必然なのか、私達のあずかり知るところではありません。しかしながら、東光を口に含み、その柔らかくも繊細な質感を感じていただけたならば、「生まれたままの温度が一番美味しい」というシンプルな結論に辿り着くのかもしれません。

米

山に降り積もった雪はまた、春からゆっくりと解けはじめ、田んぼを満たす水となります。酒造りと米作りの水源が同じであることは、私達が大切にしていきたい原則の一つです。

小嶋総本店は、恵まれた土地を活かした酒造りをするために米沢酒米研究会を立ち上げ、契約農家との米作りに取り組んでいます。メンバーの多くは小嶋総本店の冬期社員でもあるため、夏は米作り、冬は酒造りというサイクルで深く原料と向き合い、田んぼから始まる酒造りに取り組んでいます。

 「米を洗って水に浸ける時、地元の米だけは顔が違うんだ。
  生まれた時から同じ水だもんなぁ。」

蔵人がそうつぶやく時、私達はその意味を実感するのです。

酒造り

顕微鏡でしか見えない微生物の仕事に、私達人間が立ち入ることはできません。できるのは、無数の菌達が出すシグナルを読み取り、彼らが働く環境を整えることだけです。原始的なようですが、人間の五感を通した手造りでしか、微生物と対話することはできないと考えます。

雪にすっぽりと覆われる冬期間、酒蔵は低温で安定し、微生物にとっても理想的な発酵環境となります。寒冷な空気の中でゆっくりと醸される酒は、寒冷地の果実の多くがそうであるように、より若々しく繊細な味わいを生み出します。

米や水だけでなく、微生物もまた、米沢の気候風土の中で酒を醸しているのです。